谷崎潤一郎全集

癇癪老人日記

谷崎潤一郎全集編集室の非公式記録です。書誌や資料についてのあれこれ

谷崎全集のウェブサイトができました

谷崎潤一郎全集 決定版 全26巻」のウェブサイトができましたので、リンクをはっておきます。「オフィシャルな情報」は、こちらから。

http://www.chuko.co.jp/special/tanizaki_memorial/zenshu.html

川上弘美筒井康隆水村美苗のお三方が、「推薦のことば」をよせてくださいました。

下記のurlからは、内容見本がダウンロードできます。

http://www.chuko.co.jp/special/tanizaki_memorial/tanizaki_naiyo_web.pdf

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こちらは紙の内容見本です。書店などで配布される筈。

今なぜ文学全集を出版するのか

読売新聞2014年11月11日「論点スペシャル」に、「今なぜ文学全集を出版するのか」という記事がでました。とりあげられたのは、河出書房新社の「日本文学全集 全30巻」(今月から刊行)と文藝春秋の「丸谷才一全集 全12巻」(さきごろ完結)、そして中央公論新社の「谷崎潤一郎全集 全26巻」(来年5月から刊行予定)。

文学全集と個人全集のちがいはありますが、「いまなぜ全集か」というところでそれぞれの意見がのべられています。

今回の全集の特色などが談話のかたちで手短にのべられているので、興味のある方はぜひ、この記事をよんでみてくださいませ。新しい「谷崎全集」に関する記事が出たのはこれがはじめてです。

天理図書館の「手紙」展

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天理大学附属天理図書館で開催中の「手紙――筆先にこめられた想い/開館八十四年記念展」(2014年10月19日から11月9日まで)をみてきました。

 

天理図書館所蔵の名品のなかから、藤原定家から谷崎潤一郎まで、歴史上の人物から歌人、作家にいたるまで、時代も職業もさまざまな人物の「手紙」に焦点をあてた展覧会でした。

http://www.tcl.gr.jp/tenji/k84.htm

 

今回、奈良まで足をはこんだのは、谷崎潤一郎の、根津松子(のち谷崎松子)さん宛の手紙が展示されたからです。これは全集にもおさめられていない貴重な、お二人がまだ恋人同士になっていないころの手紙で、内容もおもしろいものでした。

 

ほかにも、曲亭馬琴の小津桂窓にあてた八メートルくらいにおよぶ手紙(内容はほとんど愚痴)や、森鴎外が軍医・森林太郎としてしたためた手紙、東大英文学科の講師時代の夏目漱石(金之助)が「僕は英文科の語学試験なんかつくりたくない(大意)」という手紙など、内容も文字も、その人となりがわかるようなセレクションで、みごたえがありました。東京では来年、天理ギャラリーで開催されるそうなので、書と人について興味のある方は足をむけてみてはいかがでしょうか。

 

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天理図書館の外観を遠くから。昭和五年に建てられた建造物(坂静雄設計)です。ほんのすこし、紅葉がはじまっていました。

「谷崎潤一郎対談集 藝能編」が発売されました

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谷崎潤一郎の、はじめての本格的対談集が刊行されました。592頁で、対談や座談会が30本。小谷野敦氏による序文をよむと、この本のなりたちがわかります。本編には細江光氏による註がぎっしり。

少々高額な本になっておりますが、谷崎の対談に関してはほかに類書がありませんので、ぜひ、お求め下さい。好きなものを好きという、文豪谷崎の闊達な口調のとりこになっていただきたく。

続編は「文藝編」で、来年早春の予定です。

谷崎の戦争中につくった俳句異聞

谷崎の大戦中につくった俳句の、公刊されているものの初出は「A夫人の手紙」(昭和二十五年一月「中央公論文藝特集」)です。「A夫人の手紙」自体、虚構なのか実際の手紙なのかわからないように描かれているので、ちょっとひねりがありますけれども、これが活字化されたものの最初でまちがいなさそうです。

谷崎潤一郎の「歌集」

谷崎の俳句って、そんなにめずらしいのですか、と夕方から数件編集室にといあわせがありました。ええっと。当時の文化人はたしなみでよく歌をよむとしかいいようがないのですが。

日経の記事、画像貼っておきます。記事のリンクは前項参照。

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谷崎潤一郎家集』という昭和五十二年(1977年)五月に湯川書房から出た歌集があります。生前谷崎がみずから編んでいた歌集を、13回忌にあわせて谷崎松子さんが出版したものです。内容は350首、短歌、俳句、漢詩など。「優れてゐるもの」ではないけれど、私的なものとして(だから「家集」)、思い出深いものとしてまとめていたことを、松子さんがあとがきに書いてます。

この『家集』によると、昭和二十年二月七日に「春の雪」がよまれたこと、同年梅のころに「梅が香」のうたがよまれたことがわかります。戦時下でも「細雪」を執筆し、「源氏」の口語訳に精力的に赤字をいれていた谷崎の、前向きな日々がうかがえます。

谷崎潤一郎家集』は来年春に刊行スタートする「谷崎潤一郎全集」に収められます。

また、「細雪」の「私家版」の研究成果も、全集に「解題」として収められます。

帝塚山大学の展示

帝塚山大学で谷崎の稀覯書と書簡の展覧会が開催されるらしい。メモ代わりに貼っておきます。

帝塚山大学「貴重書展示『谷崎潤一郎・耽美の世界 ~肉筆と稀覯本(きこうぼん)を中心に~』 7/8(火)より開催! 17年ぶりの貴重書一般公開!初披露の展示品もあり。
7/16(水)には展示解説つきの公開講座も。」

http://www.tezukayama-u.ac.jp/news/2014/07/01/-78-17716.html

展示会関連でこんなニュースも。

日経「谷崎潤一郎が戦時下に俳句 「細雪」掲載中止で不安詠む」(2014/7/4 12:23)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0401K_U4A700C1CR0000/

NHK谷崎潤一郎が太平洋戦争中に作った俳句」(7月4日 朝)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140704/k10015733801000.html

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NHKウェブニュースの画像も貼っておきます。

期間があまり長くないのが残念です。