卍(まんじ)の装幀が禁忌
フランスのガリマール社に写真を貸したときのこと。学生版プレイヤード叢書みたいなQuartoのシリーズに写真をのせるので御社所蔵の写真を貸してくれ、とのことだったが、結局時間がないので点検してくれ、になり、……(自主規制)……なかった。過去の展覧会の図録などから図版を複写したのがよくわかるレイアウト案で、これは……(自主規制)……写真のクレジットをきちんととって……(以下略)。
とまあ、老舗にしてはラフな仕事ぶりだと思ったが、見本が届いてさらにおどろいた。『卍(まんじ)』の単行本の写真が掲載されているのだが、タイトル部分が墨塗りになっていて、周囲にうつりこんでいるほかの書籍の写真が逆版である。つまり、写真をレイアウトした人は日本語も漢字もわからないので、「卍(まんじ)」をハーケンクロイツとみまちがえ、ハーケンクロイツは「右まんじ」なので全体を校了直前にわざわざ逆版に修正し、「卍」を墨塗りにした……ということらしい。
一応逆版の指摘はしたけれど、重版時修正はされるのだろうか。