谷崎潤一郎全集

癇癪老人日記

谷崎潤一郎全集編集室の非公式記録です。書誌や資料についてのあれこれ

書誌スタイル 雑誌篇

書誌スタイル 雑誌篇

  • 明治四十三年(一九一〇)十一月一日発行の「新思潮」(第三号) 
  • 明治四十三年十一月「新思潮」(第三号)

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  • 明治四十五年(一九一二)二月一日発行の「中央公論」二月号(第二十七年第二号)に発表された
  • 明治四十五年「中央公論」二月号(第二十七年第二号)
  • 明治四十五年二月号「中央公論

*2

*1:「新思潮」は月号がないので注意。愛読愛蔵版全集の「新思潮」の刊記に月号がはいっているのは明かにへん。

*2:わかっている範囲で「第何年何号」をいれる。どのくらい歴史のある雑誌かわかるから。また、図書館で閲覧する際に使える。通巻番号は不要。ただし、「何号」は一般読者が気にしない部分なのでみだれていることがある。増刊号などでとぶことも。

書誌スタイル 書籍篇

書誌スタイル 書籍篇

  • 大正二年(一九一三)一月二十日、「胡蝶本」の一冊として籾山書店から刊行された
  • 大正二年一月 籾山書店
  • 大正二年一月『刺青』籾山書店

書誌のスタイルはひとつではない。ひとつの本のなかで体裁がそろっていれば問題なし。あくまでこの全集のなかでのスタイルとして掲げる。データはダミー。

夕刊が朝届く

大正時代の新聞を閲覧すると、同じ日付なのに夕刊のほうが先にバインディングされていることに気づく。また、欄外(新聞のヘッダーのこと)と新聞一面にかいてある発行日がずれていることも。これはいったいどういうことなのか。

毎日新聞の社史では、

「大毎は1915(大正4)年、大正天皇即位の大典を記念し、大阪朝日と協定、夕刊発行に踏み切った。スタートは大毎、大朝とも10月11日付(実際の発行は10日夕)だった。」

「東日は23(大正12)年、東宮殿下(昭和天皇)のご成婚記念で夕刊発行を決め、9月1日紙面に「9月16日より本紙を毎号12ページに拡大し、その内4ページの夕刊を9月15日(16日付の紙面となる)より発行します」と社告を掲載した。」

と、「付」をうまくつかって説明している。「先付」という考え方があったようで、戦前の新聞は現在と印刷技術がことなるため、欄外の日付表記が一般に「先付け」で、実際の発行日と異なることがあり、とりわけ夕刊は前日午後に編集・印刷したものが翌日以降に配られるのが通常であった、というようなことらしい。

たとえば、データベースでは「聞書抄」は東日、大毎ともに1月5日で処理されており、毎日、読売ともに、記事を引用する際は「欄外」の日付で整理するのが妥当とのこと。各社、データベースの管理がここ数年で格段に整備されていて、信頼できそうだ。データベースにあとからアクセスする人がいることを考えて資料を整理したい。

印刷・発行とは

印刷・発行の表記については、各社いろいろなルールがあるようだ。しかし、一般的な考え方を記しておく。

「印刷」 印刷された日
「発行」 奥付に記載されている日=「何月号」はここから来る
「発売日」 実際に書店にならぶ日

本来は、上記のような認識だったため、月刊誌は三月号(三月発行の奥付)だけど、発売は二月ということが生じる。

現在たとえば「婦人公論」は発行と発売が同じ記載で、月号だけが慣例で翌月(三月号は二月発行・発売と記載されている)。しかし、谷崎の時代にはこれはまずない模様。

別の問題だが、年表をつくるときには月号で整理。十二月に店頭にならんでいた雑誌だとしても、一月号なら翌年の年表に仕分けしないとややこしくなる。

芦屋市谷崎潤一郎記念館発行・資料集より

芦屋市谷崎潤一郎記念館が発行した資料集の書誌をまとめておく。記念館が発行した資料集のすべてではない。

芦屋の記念館のサイトで、「映像・音声資料集」とのみあるのは、資料集の(一)と思われる。資料集の(二)のみ非売品で、ほかは記念館のWebサイトで購入できる。おいている図書館もあるようだ。(2014年2月記)

記念館ニュースも号をかさねている。

文学館・記念館

日本近代文学館
http://www.bungakukan.or.jp/
駒場にある近代文学の資料館。国会図書館にもない雑誌がそろえてあり、近代文学の資料を閲覧するには大変便利。収蔵品をもとにした展示や、夏の文学教室など開催。閲覧室の利用には300円が必要。複写代は一枚100円。(2014年2月現在)

神奈川近代文学館
http://www.kanabun.or.jp/
通称かなぶん。横浜の山手にあり、企画展は毎回みごたえがある。閲覧室あり。閲覧室の利用は無料。複写代は一枚40円。(2014年2月現在)

芦屋市谷崎潤一郎記念館
http://www.tanizakikan.com/
兵庫県芦屋市にある、谷崎潤一郎の記念館。図録や資料集などを編纂・発行している。通常時の観覧料(入館料)は300円。(2014年2月現在)

以上、いたってシンプルなリンク集。

タイトルについて

谷崎潤一郎全集編集室の記録として、非公式で綴っていこうと思っています。

「癇癪老人日記」というタイトルにしたのは、ひところ、ネット上でこの打ち間違えをよくみかけたからです。もちろん、谷崎先生の小説のタイトルは「瘋癲老人日記」です!