谷崎潤一郎の「歌集」
谷崎の俳句って、そんなにめずらしいのですか、と夕方から数件編集室にといあわせがありました。ええっと。当時の文化人はたしなみでよく歌をよむとしかいいようがないのですが。
日経の記事、画像貼っておきます。記事のリンクは前項参照。
『谷崎潤一郎家集』という昭和五十二年(1977年)五月に湯川書房から出た歌集があります。生前谷崎がみずから編んでいた歌集を、13回忌にあわせて谷崎松子さんが出版したものです。内容は350首、短歌、俳句、漢詩など。「優れてゐるもの」ではないけれど、私的なものとして(だから「家集」)、思い出深いものとしてまとめていたことを、松子さんがあとがきに書いてます。
この『家集』によると、昭和二十年二月七日に「春の雪」がよまれたこと、同年梅のころに「梅が香」のうたがよまれたことがわかります。戦時下でも「細雪」を執筆し、「源氏」の口語訳に精力的に赤字をいれていた谷崎の、前向きな日々がうかがえます。
『谷崎潤一郎家集』は来年春に刊行スタートする「谷崎潤一郎全集」に収められます。
また、「細雪」の「私家版」の研究成果も、全集に「解題」として収められます。